インプラント治療の考え方 Concept of implant treatment
何らかの理由で歯を失った場合、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの補綴治療によって補います。その中でインプラントを選ぶメリットは、周囲の健康な歯を削ることなく治療ができることにあります。例えば、入れ歯は支えとする歯に負担をかけるため、経年と共に支えている歯が弱っていき、抜歯となって新たに入れ歯を製作するという流れを繰り返します。またそれは、ブリッジも同様です。ブリッジでは欠損歯の両隣にある健康な歯の神経を残す形で削り、人工歯の土台とします。今まで欠損部分にかかっていた力が土台の歯へかかるため、入れ歯同様に周りの歯がどんどん失われていくことになるのです。
このような歯を失う負の連鎖を食い止められるのが、インプラント治療の大きな特徴です。より多くの歯を残すために、1本の歯の欠損を1本のインプラントによって補う治療も選択肢のひとつです。
欠損歯を放置するリスク Risk
- 食事がしにくくなる
- 歯が動いて歯並びや噛み合わせが
悪くなる - 欠損部分に食べ物が
挟まりやすくなる - 残った健康な歯に欠損分の
負担がかかる - 歯が抜けた分噛める食材も減る
- 空気が抜けて発音が不明瞭になる
- 脳への刺激が低下して認知症の
リスクが上がる
Flow インプラント治療の流れ
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カウンセリング
最初に患者さまへのカウンセリングを行い、治療の流れや費用など治療に関わる情報をしっかりとお伝えします。また、口腔内全体の検査、全身疾患や服薬の有無なども確認いたします。なお、重度の歯周病がある場合には、事前の治療が必要です。
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お口のデータ収集
患者さまの口腔内のデータを集めるため、歯型取り、レントゲン撮影、歯科用CT撮影などを行います。インプラントは顎の骨(歯槽骨)に直接埋入するため、骨の状態が治療の成功率に大きく反映されます。そのため、歯科用CTで顎の骨の高さ、厚み、密度、血管や神経の位置を立体的に確認してから、インプラントを入れる位置や深さ、角度を決定します。
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治療説明
カウンセリング結果やお口のデータを基に考案した治療計画、今後の治療の流れや期間、費用などをご説明いたします。説明の結果、患者さまのご理解とご同意がいただければ、インプラント治療を開始していきます。
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埋入手術
インプラント体を顎の骨に埋め込む手術を行います。1回法の場合は、埋入したインプラント体にアバットメント(インプラント体と上部構造をつなげるパーツ)を取り付けて、歯茎がふさがらないようにします。2回法ではインプラント体を埋入後に歯茎を縫合いたします。
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待機期間・印象
インプラント体が歯槽骨と結合するのを待つ期間です。一般的に下顎は3カ月~4カ月、上顎は6カ月程度で結合するといわれていますが、骨の状態やインプラントの種類によっても期間は異なります。インプラント体の結合が確認できた後、2回法では歯茎を開いてアバットメントを装着し、1週間から6週間ほど時間をおいて、上部構造(人口の歯)製作のための型取りを行います。
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上部構造の装着
できあがった上部構造を、アバットメントに取り付けます。上部構造の噛み合わせ、形、色などをご確認いただき、問題がなければ治療の完了です。
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メンテナンス
治療後は定期的にメンテナンスを行い、インプラントが正常に機能しているかどうかをチェックします。
インプラントを
長期間使うために
インプラント治療後は、1年に2カ月~4カ月ごとの定期メンテナンスを受けましょう。メンテナンスを怠ってしまうと、周囲の歯茎に炎症が起こる「インプラント周囲炎」が発症し、インプラントが抜け落ちるリスクが高くなるためです。
定期メンテナンスの内容は、インプラント周りの骨の確認、噛み合わせのチェック、口腔内全体の歯と歯茎のチェック、クリーニングなどがメインです。必要があれば、ブラッシング指導や食生活指導も行います。せっかく時間と費用をかけてインプラント治療をしたのに、お口のケア不足ですぐに失ってしまうのでは意味がありません。インプラントを長く使うために、ご自宅での歯磨きと併せてメンテナンスをご利用ください。