生涯の虫歯のリスクは、
3歳までに決まる
risk of tooth decay
虫歯は誰でも発症するものだと思われがちですが、実は生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯の原因となる細菌が存在しません。
赤ちゃんがかわいいからとキスしたり、食べかけをお口の中に入れたり、食器の共有をしたりすることで感染させてしまいます。そして、口内の常在菌は3歳までの間に定着します。それまでの間にしっかりと虫歯予防ができていれば、大人になってからも虫歯になりにくい口内環境を作ることが可能です。
このページでは、虫歯菌の感染を防ぐためのポイントをお伝えいたします。
歯医者さんデビューの
タイミングはいつ?
初めて子育てをされている方は、お子さまが何歳になったら歯医者さんに連れていくべきか、悩まれているかもしれません。歯医者さんデビューのタイミングは、上の前歯が2本生えてきたのを確認できた時(産後10か月頃)です。
出産後は何かと忙しくて、赤ちゃんを歯医者さんに連れて行くのは大変だと思います。しかし、初めての歯医者さんが1歳半検診という方もいらっしゃいますが、その頃になるとすでに虫歯ができていたり、歯並びを悪くするクセがついていたりするケースもあります。お子さまのお口の状態を把握して、それぞれに合ったケア方法や食事指導を受けることが、虫歯予防に役立ちます。
また、舌・唇・鼻の問題へ早期に気が付き、早めの対応が可能となります。お子さまの健やかな成長発育を守るためにも、適切なタイミングで歯医者さんデビューをさせましょう。
Measures
お子さまの歯を虫歯から
守るための対策
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フッ素塗布
お子さまの虫歯予防を行う上で最も重要なのが、定期的にフッ素を塗布することです。虫歯菌が糖分をもとに出す酸で歯が溶けるのが虫歯ですが、初期であれば唾液の力で自己再生します。それを助ける力があるのがフッ素です。
特に赤ちゃんの歯は柔らかく未熟であり、口腔ケアも簡単にはできません。歯が生えた瞬間から虫歯のリスクがあることを考えて、赤ちゃんのフッ素塗布をおすすめいたします。 -
食生活指導
食生活指導では、口腔育成や虫歯予防などを目的に、毎日のお食事、おやつ、飲み物の選び方・取り方、食べるタイミングなどをレクチャーいたします。例えば、食事のメニューが柔らかい食べ物ばかりだと顎がきちんと成長せず、食事時間がバラバラだと虫歯リスクが高くなるなどの問題が発生します。
お子さまの成長や年齢に合わせたメニュー選びや、歯列全体でバランスよく噛むくせを付けることで、顎、骨格、筋肉の正常な発育を目指しましょう。 -
歯磨きトレーニング
赤ちゃんの歯磨きは、下の前歯が生えてくるタイミング(生後6か月前後)から開始します。しかし、いきなりお口の中に歯ブラシを入れると、異物感や上からのぞきこまれる姿勢を怖がって、嫌がられる可能性が高くなります。初めての歯磨きは、まず赤ちゃんが歯ブラシの感覚に慣れるトレーニング程度に考えて、気楽に行ってください。前歯や奥歯が生えそろってきて、奥歯の溝や歯と歯の間に汚れが溜まるようになってきてからが歯磨きの本番です。
また、お子さまが3歳ごろになると自我の芽生えによって「自分で歯磨きをしたい」と主張しだす傾向があります。このタイミングを生かして、自主的に歯磨きをする習慣を身につけさせましょう。基本的に親御さまは手を出さず、お子さまが自分で磨く様子を見守ります。歯磨きが終わったら、頑張って磨けたことをしっかりと褒めて、自信を付けさせてあげることが重要です。最後に、磨き残しのないように仕上げ磨きをしてあげてください。
虫歯にならないために
注意することは?
口内は普段アルカリ性を保っていますが、飲食によって酸性に傾き、唾液の力によってアルカリ性に戻ります。この変化を曲線グラフ化したものを「ステファンカーブ」といい、虫歯を予防する上でとても重要です。
歯の表面を覆うエナメル質は酸に弱いため、口内が酸性に傾くと脱灰(初期の虫歯)が進みます。つまり、決まったタイミングで食事をしなかったり、お菓子やジュースなどをちょこちょこ食べていたりすると、酸性からアルカリ性に戻るタイミングが少なくなって、歯がどんどん溶けてしまうのです。
虫歯予防で大切なのは、ダラダラ食べ続けないことです。お食事後は歯を磨く、あるいはお口をすすぐことを徹底して、虫歯になりにくい口腔状況にしてください。
保護者の方へのメッセージ
毎日しっかりと赤ちゃんの口腔ケアをしていても、虫歯ができてしまう可能性はあります。そんな時には歯医者さんでの虫歯治療が必要ですが、赤ちゃんには言葉での説得ができないため、どうしても泣いたり暴れたりしてしまいがちです。
保護者の方によっては「騒いでしまって申し訳ない」「周りに迷惑をかけている」と肩身の狭い思いをされているようですが、赤ちゃんが泣いてしまうのは当たり前のことですから、気にする必要はありません。
また、治療後には赤ちゃんをたくさん褒めてあげることも大切です。いくら言葉が通じないといっても、保護者の方の態度は赤ちゃんへダイレクトに伝わります。赤ちゃんに歯科治療へのトラウマを植え付けないためにも、できたことをしっかりと褒めて、歯医者さんへプラスの印象を持たせてあげてください。